ニューヨークタイムズによると、ドイツは政府をあげて国民のプライバシーを守るために電子メールの暗号化を進めているようです。
German Government Backs End-To-End Encryption for Email
De-mailは日本でいればNTTグループのようなメジャーな携帯電話、プロバイダーサービスの会社のサービスのようです。国民のプライバシーを守るための国家的な取り組みとして電子メールの暗号化を進めていくというのは素晴らしいことです。当サイトで推奨しているPGPという暗号を用いるようですし、具体的にはMailvelopeというPGPを実現するための機能拡張を組み込む形のようです。
しばらく前に英国のキャメロン首相が「政府が読めない電子メールは許可するべきではない」と発言したことと対照的とも言えます。米英はテロを口実に国民のプライバシーの侵害を進めていく国なので、まるで旧ソ連、旧東ドイツのような方向性を向いているというのが不思議な感じです。
日本ではどうでしょう。docomoのショップに行くとLINEやFacebookを薦めるポスターが貼ってあったりするのを見ると、プライバシー保護に関する意識の低さが感じられて、悲しくなりますね。日本政府も米英に見習って特定秘密保護法等により国民の知る権利の抑制に力が入っているようでもありますし。国による国民のプライバシーに対する姿勢が顕著に違っているのが興味深いところです。
こうした事実を知ると、電子メールサービスはドイツやスイスの会社のものが安心できますね。
以下に記事の概要を示します。
PGPは電子メール用の最も安全な暗号と考えられているが、複雑すぎるという面もあった。内務省の発表によると、ドイツの政府機関も利用しているDe-mailという電子メールサービスでは、PGPの暗号化のための拡張機能(Mailvelope)を使うことによって実現しようとしている。内務大臣は「ドイツはデジタルサービスの利用において先駆的な役割を果たしたい。暗号化はそうした重要な前提条件のひとつである」と話している。2年前のエドワード・スノーデンの暴露により、米国のNSAという諜報機関がインターネット上で広範な情報収集をしていたことが明らかになり、ドイツでは波乱を呼んだ。ナチスの時代及び東ドイツ時代における国家による広範な盗聴・検閲が行われていたという固有の歴史をふまえ、ドイツ国民の間にはプライバシーに対する強い期待が存在する。
内務省の担当者が言うには、ドイツの諜報機関は、犯罪と戦う必要がある場合には犯罪者が暗号化する前に或いは暗号を解読した後のメッセージを手に入れようとするであろう。実際に容疑者のパソコンにしかるべきソフトをインストールすることで捜査が行われている。